チャプター 1
「導入済み」と「使えている」は違う
生成AIの社内導入は、契約した時点では終わりません。むしろそこからが本番です。ライセンスは配られ、触ってみた人もいる。それでも成果物が変わらない、という状態はよく起きます。
今回の受講者は、リテラシーが高く、普段からCopilotを触っている層でした。使い方が分からないわけではない。ところが、提案書を作るとなると急に手が止まる。何をどう頼めば実務で通る成果物になるのかが分からないからです。
この段階の人に「基本操作」の研修をしても意味がありません。かといって高度な技術の話をしても、日々の業務には落ちない。狙うべき層と内容がずれると、研修は満足度だけ高くて何も変わらない時間になります。
チャプター 2
何を教えないかを、先に決める
研修の設計で難しいのは、何を教えるかより何を教えないかです。生成AIでできることを全部紹介すると、聞いている間は面白いのに、翌日はどれも使われていないという結果になります。
今回はゴールを「提案書を作れる」「壁打ちができる」の2つに定め、そこに関係しない機能は扱わないと決めました。テーマを絞ったぶん、1つあたりに使える時間が増えます。浅く広くより、狭く深くのほうが業務は変わります。
構成は、基礎の復習と実務の演習で半々にしました。基礎を完全に外さなかったのは、日常的に使えている人ほど自己流の癖が付いていることが多く、そこを一度そろえておくと後半の演習が速く進むからです。
チャプター 3
演習の題材を、自社の提案書にする
演習には、実際の拠点候補スコアリングのデータを使いました。汎用のサンプルデータではなく、御社が普段扱っている形式のものです。
扱う成果物も、社員食堂の提案書という実物にしました。研修の中で完成形まで持っていくので、受講者はその日のうちに「AIと一緒に提案書を作る」という体験を一通り済ませることになります。
この設計にすると、質問の質が変わります。「この機能は何ですか」ではなく「この数字の並びをどう説明させればいいか」といった、自分の業務に直結した詰まりが出てくる。そこをその場で解くのが、いちばん定着します。
チャプター 4
研修のあとに何が残るか
当日使ったプロンプトは集約して配布しました。研修中にできたことを、翌日ひとりで再現できるかどうかが分かれ目になるためです。手順が手元にあれば、記憶に頼らず戻ってこられます。
研修は一度で完結させるものではない、とも考えています。社内テンプレートに合わせたカスタマイズや、対象部署を広げた展開を次のフェーズとして検討いただいています。
- 課題
- 全社にCopilotを導入し、日常的に触っている社員がいる状態でした。それでも、提案書のような成果物をAIと一緒に作ろうとすると手が止まる。操作ができることと、業務で使えることのあいだに開きが残っていました。
- 打ち手
- 機能を網羅する説明はせず、扱うテーマを絞ってカリキュラムを設計しました。演習の題材は御社の実務そのものです。実際の拠点候補スコアリングのデータを使い、社員食堂の提案書を仕上げるところまでを扱っています。
- その後
- 研修で使ったプロンプト集を配布し、翌日から同じ手順をなぞれる状態で持ち帰っていただきました。社内テンプレートに合わせたカスタマイズを次のフェーズとして検討いただいています。

