チャプター 1
指導の根拠が「たまたま聞けた数件」だった
インサイドセールスの現場では、1日に数百件の架電が発生します。その全部を聞くことは物理的に不可能です。マネージャーは手が空いたときに数件だけ確認し、そこで気づいたことを指導に使っていました。
問題は、その数件が全体を代表しているとは限らないことです。良い通話をたまたま聞けば「できている」となり、悪い通話に当たれば「できていない」となる。新人が伸びるかどうかが、どのマネージャーに当たるかで変わってしまう状態でした。
この構造は、組織が大きくなるほど効いてきます。人を増やせば架電数は増えますが、それを見るマネージャーの時間は増えません。教育の質が人数に反比例して落ちていく。採用を強化しても成果が伸びない会社は、たいていここで詰まっています。
チャプター 2
聞かずに中身が分かる状態をつくる
全通話を聞けるようにするのではなく、聞かなくても中身が分かる状態を目指しました。Zoom Phoneと連携して通話データを自動で取得し、文字起こしとAIによる内容分析までを自動化しています。
画面上では、架電結果の分類、話し方の傾向、次に取るべきアクションまでが確認できます。気になる通話だけを文字起こしで追い、必要なら音声に戻る。確認の順番が逆になりました。
AIに点数をつけさせて終わり、という作りにはしていません。スコアだけを見せられても、何を直せばいいのかは分からないからです。どの発言がその評価につながったのかを追えるようにして、指導の材料として使える形にしています。
チャプター 3
複数チームで使える構成にする
設計時点で、ひとつのチームだけで終わらせない前提を置きました。マルチテナント構成にし、チームごとにデータが分離された状態で同じ仕組みを使えるようにしています。
最初から広げる前提で作るかどうかは、後から大きな差になります。1チーム用に作ったものを後で分離しようとすると、データの持ち方から作り直すことになる。将来使うかもしれない機能は作りませんが、構造だけは広げられる形にしておく、という線引きです。
架電の中身が数字と文字で残るようになり、マネージャーが確認に使っていた時間が短縮されました。指導の根拠が記憶ではなくデータに変わっています。
効いているのは、マネージャーの負担が減ったことだけではありません。何が評価されているのかがメンバー側にも見えるので、指導を待たずに自分で振り返れる。人が育つ速度は、フィードバックの回数で決まります。
- 課題
- 架電の良し悪しの判断が、マネージャーの主観と記憶に依存していました。1日に数百件の架電がある中で全通話を聞くことは物理的に不可能で、指導は「たまたま聞けた数件」を根拠に行われていました。新人が伸びるかどうかが、どのマネージャーに当たるかで変わってしまう状態です。
- 打ち手
- Zoom Phoneと連携して通話データを自動で取得し、文字起こしとAIによる内容分析までを自動化しました。架電結果の分類、話し方の傾向、次に取るべきアクションまでを画面上で確認できます。複数チームで使えるようマルチテナント構成で設計しました。
- その後
- 架電の中身が数字と文字で残るようになり、マネージャーが確認に使っていた時間が短縮。指導の根拠が記憶ではなくデータに変わりました。



