チャプター 1
毎日組み替わるものを、紙で管理していた
配車は、前日に組んだ計画がそのまま実行されることのほうが少ない業務です。積み地の都合、車両の状態、ドライバーの稼働。どれかが動けば全体を組み替える必要があります。
その組み替えを、この会社では担当者の記憶と紙のやりとりで回していました。全体を把握しているのが特定の人だけなので、その人が不在の日は現場が止まりかねない。日常的に回っているように見えて、実際には一人に依存した状態でした。
こうした業務は、外から見ると「非効率だから直すべき」に映ります。ただ現場の側から見れば、その進め方で長年きちんと回ってきたという事実があります。だから、いきなり仕組みを持ち込んでも受け入れられません。まず何が起きているのかを、こちらが理解するところから始める必要がありました。
チャプター 2
現場が見ている順番のまま、画面に落とす
システム化で失敗しやすいのは、業務そのものを作り替えてしまうことです。整理された理想のフローを画面にしても、現場の手順と違えば使われません。
そこでまず、担当者が配車を組むときに何をどの順番で見ているかをうかがいました。車両を先に見るのか、案件を先に見るのか。実際の並びのまま画面に落とし、これまでの手順で操作できる形にしています。
業務の順番には、たいてい理由があります。一見すると遠回りに見える手順が、過去のトラブルを避けるために定着していることも珍しくありません。理由を聞かずに「効率的な順番」へ組み替えると、その理由ごと消してしまいます。
チャプター 3
変更の履歴が残ることの効き目
車両・ドライバー・案件を一元管理し、割り当てと変更の履歴が残るようにしました。誰がいつどう変えたかが残ることで、後から経緯を追えるようになります。
履歴は、記録のためだけのものではありません。急な変更が入ったとき、それまで口頭で共有していた内容が画面に残るということは、その場にいなかった人でも状況を追えるということです。引き継ぎのために誰かが説明する時間が要らなくなります。
属人化の解消というと、担当者から仕事を取り上げる話に聞こえがちです。実際に起きたのはその逆で、これまで一人で抱えていた判断を他の人と分担できるようになりました。休みが取れる、急な体調不良でも回る。守られたのは会社だけでなく、その担当者本人でもあります。
配車の状況が担当者以外にも見えるようになり、変更が入ったときのやりとりが口頭から画面上に移りました。属人化していた業務を、複数人で回せる状態にするための土台ができています。
- 課題
- 配車の割り当ては担当者の記憶と紙のやりとりで成立していました。急な変更が入るたびに全体を組み直す必要があり、その判断ができるのは特定の人だけ。担当者が不在の日は現場が止まりかねない状態でした。
- 打ち手
- 車両・ドライバー・案件の情報を一元管理し、割り当てと変更の履歴が残るシステムを開発しました。現場が実際にどの順番で情報を見ているかをヒアリングし、その並びのまま画面に落としています。
- その後
- 配車の状況が担当者以外にも見えるようになり、変更が入ったときの引き継ぎが口頭から画面上のやりとりに変わりました。



